伊藤忠―
プライム
住商―
ショップチャンネル
三井物産―
QVCジャパン
すき間から主役へ “自社”ブランド続々デビュー
ファッション性が高い衣料品や雑貨をテレビ通販で売ろうとする動きが目立ってきた。主役はブランド事業に熱心な総合商社。住友商事、三井物産に続き、伊藤忠商事も昨年末に専業大手に出資し三つ巴(どもえ)の戦いに突入した。主販路の百貨店などでこうした商品の販売が低迷する半面、放送のデジタル化などでテレビ通販の成長が加速すると読むため。幅広い層に対応できるブランドを多く持ち、インターネット通販などとの連携で顧客を呼び込めるかが勝敗のカギになりそうだ。
放送・通信事業に積極的なのに、テレビ通販に進出していないのは不思議――そう言われてきた伊藤忠が動いた。プライムと資本・業務提携したのだ。現在の出資比率は約一五%だが、新株予約権を行使すれば三三%強で筆頭株主になる。
プライムの売上高は二〇〇七年六月期で百五億円。住商傘下で業界首位のジュピターショップチャンネル(東京・中央、〇七年十二月期で千二十三億円)の十分の一ながら、足場はできた。
「テレビ通販はすき間商品で成長してきたが、今後はブランド力が高い商品を扱う企業が勝つ」。プライムの田端一宏社長は健康・美容関連品の販売で育った自社を含む業界の現状と今後をこう分析する。生き残り策を探るなかで出会ったのが、伊藤忠だった。
名古屋にあるプライム本社での企画会議などには、伊藤忠大阪本社に駐在する繊維カンパニーの担当者が通ってくる。提携を主導したのが放送事業などを受け持つ宇宙・情報・マルチメディアカンパニーではなく、繊維カンパニーだからだ。
商社にはメーカーなどのOEM(相手先ブランドによる生産)事業を繊維部門の中核とする企業が多い。一方、伊藤忠のドル箱は靴「コンバース」、紳士服「ポール・スミス」など約百五十ものブランドを扱うファッション事業だ。主要販路の百貨店やスーパーなどで服飾品の売れ行きが鈍るなかで、「無店舗販売での新たな布石づくりが不可欠になってきた」(岡藤正広専務)。
若い女性を中心に、気に入ったブランドの服や雑貨を試着せずネット通販や携帯通販で買う消費者が増えている。デジタル放送が普及すれば、テレビで高精細な動画が手軽に見られる。ネット通販や携帯通販のサンプル画像より商品の色やデザインを確認しやすいテレビが服飾品の有力販路になるとの見方が多い。伊藤忠もその点に注目。「テレビは固定ファンがつきやすく、早めに手を打った」(岡藤専務)
伊藤忠はブランドビジネスで培ったノウハウをプライムでも生かす。五月に発売する提携第一弾はカーテンとベッドマットだが、その後は衣料品や雑貨を順次投入。ブランドの歴史などを伝える番組を作り、テレビ通販の安っぽいイメージを破るという。プライムは現在、服飾品の扱いはゼロに近いが、将来的に売上高の三割程度を目指す。
迎え撃つ住商、三井物産も負けてはいない。
独フェイラーの総輸入元(〇四年)、米「バーニーズニューヨーク」の日本事業(〇六年)、伊ナラカミーチェの総輸入元(〇七年)――。住商は年一社近いペースでブランド事業を買収、主力ブランドを五年後に十と倍増させる。大橋茂執行役員は「ショップチャンネルで売ることを前提に一流ブランドを入手する」と明言。テレビでブランドを知った消費者が店に来る効果も見込む。
ナラカミーチェは三月にショップチャンネルで宝飾品の販売を開始。同社での一時間の平均売り上げ(千五百万円)を上回った。六月にはブラウスも発売する予定。フェイラーのハンカチやバッグも販売している。
三井物産は四割を出資するテレビ通販二位のQVCジャパン(千葉市、〇六年十二月期で七百三十四億円)とBSデジタル放送のワールド・ハイビジョン・チャンネル(東京・渋谷)を連携させ、服飾品を拡販する。
第一弾が自社でライセンス権を持つ「ハナエモリ」。従来より高めの雑貨「プレミアムコレクション」を開発、BSデジタルでブランドの世界観を紹介する番組の放送を始めた。BSで十回以上放映した三月末にQVCで通販番組を流し、予想通りの売り上げを確保。ブランドマーケティング事業部の木原伸一ユニットリーダーは「テレビ通販は衣料メーカーの宝島になる」と期待する。